サンバ ― 2022-08-07

★サンバ
監督:エリック・トレダノ 、オリヴィエ・ナカシュ
出演:オマール・シー、シャルロット・ゲンズブール、タハール・ラヒム、他
2014年/フランス
フランスの移民問題の実情の一部?がよくわかる。
パリのモザイク状態の文化、人種の一面がよく出ている。
映画タイトル「サンバ」は
アフリカ系移民の男の名前ですが、
ラストになって、
作品のテーマとも繋がり、
ある種の切ない哀しみの感情があふれ、
移民問題の複雑さについて考えさせられました。
ビザなし、金なし、住所なし、持っているのは「最強」の笑顔だけ。
オマール・シーは好演でした。
久しぶりにシャルロット・ゲンズブールを観ました。
他の作品でも観ているのでしょうが、
鮮明に記憶が残るのは「なまいきシャルロット」
今回の彼女の役どころは、バーンアウトした一流ビジネスマン。
休職中で、移民協力ボランティア。
サンバと出会ってから、しだいに回復し、そして再び強力に職場に復帰。
彼女も好演、魅力的でした。
普通なら出会うことがない
結びつくことがない
二人の出会いだからこそ物語が生きる。
なかなかシリアスで、
ラストはこの選択かーーーと、ほんのり切ない作品ではあるが、
生き抜くことへの意欲を感じさてくれて、
いい作品です。
荒野の1ドル銀貨 ― 2022-05-26

★荒野の1ドル銀貨
監督:カルヴィン・J・パジェット
音楽:ジャンニ・フェリオ
キャスト:ジュリアーノ・ジェンマ、イヴリン・スチュワート、ピーター・クロス、他
1965/イタリア=フランス
口笛の曲が流れたその瞬間、
一瞬にして半世紀前の時空へワープする。
これがシネマの魅力。
コインが銃弾から命を救ったというお話だが、
アメリカ西部劇にありそうなお話。
実話かもしれない。
マカロニウエスタンのエッセンスが一杯詰まった作品。
ジュリアーノ・ジェンマの笑顔がいつまでも残る。
レボリューション6 ― 2022-04-27

★レボリューション6
原題:WAS TUN, WEEN'S BRENNT?
監督:グレゴー・シュニッツラー
音楽:ステファン・ツァッハリアス
撮影:アンドレアス・ベルガー
キャスト:ティル・シュヴァイガー、マーティン・ファイフェル 他
2002/ドイツーアメリカ映画
手製爆弾作っておきなながら、
《遊びだった》はないだろうけど、
時代の雰囲気はよく伝わる。
ドイツを東西に分ける時代、
まだまだイデオロギーが世界を支配していた80年代。
彼ら6人(グループ36)はりっぱなアナキストだった。
爆弾は作るし、
治安部隊に対して、
上階から、ションベン引っ掛けるし。
やりたい放題の活動である。
果たして思想的背景があったのかそれは怪しい?
と思わせるほどコミックな映像であり、
パンクっぽいスタイルだった。
なんとなく《いちご白書》を思い出した。
いつの時代でも若者たちに共通するのは、
《モラトリアム的思考》である。
そして、
彼らが作った手製爆弾が15年後、
突然爆発する。
物語はそこから動き出すが、
それぞれの人生を歩んでおれば、当然、考え方が変わる。
久しぶりに再会した彼らが、
ぶつかり合いながらもしだいに青春時代の感覚を取り戻し、
どんどんアバンギャルドになっていく。
そしてついに、証拠隠滅のため、再び手製爆弾を作ることに。
火薬の入れ物が消火器である。
雪のような泡は消火器から吹き飛んだ泡。
時々、映画の中で使われるファンタスティックな小道具。
なるほど昔は除草剤を使ったんだ。
最後のピンチは、
運動家を苦しめた放水車で、
警察の包囲網を抜け出すのはいかにもシニカル。
反体制活動とは遠く離れた内容ではあったけど、
ラストの小気味良さはすがすがしく。
流れるドイツパンクは軽やかなリズムと繊細な響き。
理屈抜きに愉しい作品。
アスファルト ― 2022-04-16
★アスファルト 監督:サミュエル・ベンシェトリ 製作国:フランス(2015)
それぞれの物語に繋がりはないが、 不器用で、見栄っ張りで、そして精神不安定な寂しがり屋さんたちが登場する。
落ちぶれた女優と鍵っ子の高校生 自称カメラマンと夜勤の看護師 移民の女性とフランスに不時着してしまったNASAの宇宙飛行士どれも可笑しいが、NASAの宇宙飛行士はほとんどシュール。 英語とフランス語のやりとりがユーモアたっぷりに展開。 クスクス料理には興味津々。 《そうか、これはメルヘンなんだな》。
趣味的なメッセージがあちこち散りばめてある。 eaglesのTシャツ、 マルセイユのユニホーム。 なんなのこれ?ッて感じです。
変な可笑しな話しが続くが、 違和感なく、 つい引き込まれた。
自称写真家と看護師のロマンスがじんわり。 出会いは荒涼とした雰囲気だったが、 ラストの二人は見事に綺麗だった。
人物描写が細やか。 それぞれのお話が進むにしたがって、 それぞれの人が、純になっていく。 人はこんなにも純になるのか。
「東儀一回顧展」京都市美術館 ― 2022-02-16
画家・井澤元一と京都1 ― 2022-01-07
懐かしい名前に惹かれ、 京都文博へ行ってきました。
展示されていた、「三十三間堂 南大門」(1975)は、 発表された当時、京都市美術館で観た。 以後、京都の祭礼を描いた作品のほとんどは観ているような気がする。 今再び、祭りの絵を観ると 「なんやら、マチスのようだ」 なんて思ってしまった。 キャンバス地を残したり、 鮮やかな薄い絵具の塗り具合、 闊達なデザイン性ある絵。
自由美術時代、独立美術時代の作品も展示。 造形への鋭い追求心を見ることができる。
絵は今でもフレッシュでした。
私は主体展に出品していた数年間、 大変お世話になりました。
ある年の新年交歓会のこと、 くじ引きで互いに色紙交換することになり、
見事井澤さんと交換することになりました。
私は井澤さんの色紙をいただき
井澤さんには私の色紙をもらっていただきました。
とても恐縮した時間でした。
長岡天神八条池の12月sketch ― 2021-12-03
線は、僕を描く ― 2021-11-27

★線は、僕を描く
著者:砥上 裕將
講談社文庫
水墨画の世界をちょっと覗かせていただいた。
著者自身が水墨画作家ということで、
自分の想いや、制作スタイルなどを
物語の中に落としこんでいるので、
最後まで興味深く読んだ。
水墨画家を何人か登場させているが、
それぞれに個性があって
彼らの作品の雰囲気が伝わるのが
筆者の筆力。
湖山先生の
「絵は絵空事だよ」
僕は最後までこの言葉に拘りました。
達観した表現ですが、
意味ある言葉だなと思っています。
希望や光明を紡ぐ物語。
ポジティーブな世界観でした。
生誕120年記念 荻須高徳展―私のパリ、パリの私― ― 2021-10-30
荻須高徳の絵を観てきました。 パリの街を描いた絵 パリの建物を描いた絵
初めから終わりまで荻須の絵に大きな変化は感じられません。 僕にはそう見えました。 そのことがある意味不思議であり 大きな驚きでもありました。
激動の時代、 絶え間なく変化する絵画の潮流、 に対して まったく動じないような頑固な絵画。 驚きと呆れです。
パリの街を描き続ける画家とはいえ 美術潮流の文脈からはずれるスタイルではありません。
戦後の抽象画に対抗する強い意識が感じられました。 抽象絵画の強い平面性を 自らの具象絵画に見事に取り入れている。 叙情性より強固な構築性に突き進んでいる。 頑固ですね。 一貫している。
建物の大きな壁の強い平面性。 変化に富む個性ある壁のフォルム。 ひたすら絵具を塗り続けて入るように感じました。
時々の空模様や 道路の変化、 運河や川の様子、 水に映る街の姿にも意識が向かうと想うが、 彼はひたすら建物の壁、壁、壁。
アメリカの抽象絵画に対抗するかのように 大きな壁、鮮やかな壁。





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