テロリストのパラソル ― 2025-08-25
本を読んだ。

★テロリストのパラソル
著者:藤原伊織
出版社: 角川書店
発表された当時はかなり気になってはいたが、いつのまにか忘れた。
今回、たまたまいつもの本屋で文庫本を手に取ってしまった。
立ち読みしたあとがきの文章が気に入り即購入。
それなりのハードボイルタッチで、一気読み。
話の筋はある程度知っていたが(何で知ってるんだろうか?自分でも覚えていない)
小説を読むと、《これはいい》と唸りながら。
熱烈なファンがたくさんいるというのも頷ける。
登場人物のキャラが《凛として際立つ》。
となると、読んでいて気持ちがいい。
うじうじしたのが出てこないというか、
犯人のテロリストがどうもすっきりしない男というのがちょっと惜しいくらい。
男《これが宿命なんだよ。これがあの闘争を闘ったぼくらの世代の宿命だったんだ》
に対して、主人公島村は、
《私たちは世代で生きてきたんじゃない。個人で生きてきたんだ》
この物語は、個人で生きてきた男の孤立無縁の戦いを描いた作品である。
ちょっと格好良すぎではないかと思うが、実にすがすがしい気分。
人生模様 ― 2025-08-25

★人生模様
1952/アメリカ
O・ヘンリーの短篇5つを、それぞれ異ったスタッフ、キャストにより映画化したオムニバス。
進行役が、アメリカ文学の巨人、ジョン・スタインベック
という豪華な作品。
5本全て名作。
今までに何回かみているが、
お馴染みのシーンには
飽きずにうっとり。
そして癒される。
1 「警官と賛美歌」
2 「クラリオン・コール新聞」
3 「最後の一葉」
4 「赤い酋長の身代金」
5 「賢者の贈り物」
5つの「オチ」が見事です。
さすが
おおヘンリーと。
若きモンローがチラリと出ています。
見逃してしまうくらいのシーンです。
ああモンローだ!
嬉しいですね。
水彩画を楽しむ ― 2025-08-21



カラヴァッジョ~天才画家の光と影~ ― 2025-08-14

★カラヴァッジョ~天才画家の光と影~
監督:アンジェロ・ロンゴーニ
キャスト:アレッシオ・ボーニ、エレナ・ソフィア・リッチ、他
2007/イタリア
カラヴァッジョの凄さを知ってるか。
絵の素晴らしさはもちろんだが、
彼の生き様が凄まじい。
彼の人生そのものが「バロック」である。
2007年にイタリアで放送された全2話のテレビシリーズを、
一本にまとめて2010年に日本で劇場公開。
ですから、ちょっと物語展開の繋ぎが不鮮明です。
でも、ボクのようなファンはたまりません。
画家を扱ったものの中では、
出色の出来ではないかと思っているくらいです。
ローマは昔も今も、
《浮浪者と売春婦》の街のようで、
思わず苦笑です。
「富の集中するところ、芸術と悪が栄える」
ボルゲーゼ卿の登場は、ちょっと嬉しかったですね。
以前、「ボルゲーゼ美術館展」で観たカラヴァッジョ が鮮明に浮かんできました。
喜多川歌麿女絵草紙 ― 2025-08-14

本を読んだ。
★喜多川歌麿女絵草紙 (文春文庫)
著者:藤沢周平
何気なく選んだ文庫本。
予想外に良かったー、
さすが藤沢周平。
哥麿は江戸の謎の絵師の一人。
多彩な絵師、戦略的な絵師。
浮世絵絵師は、時にエロ絵師みたいなイメージさえがつきまとうが
藤沢周平によって僕の喜多川哥麿観が完全に変わった。
物悲しい心境の哥麿像が描かれる。
まさに
沁みるなぁ
特に、女弟子千代との関係が、情感深く描かれ、秀悦。
しっとり。
謎の絵師写楽や馬琴なども登場し、
江戸の浮世絵世界へ一瞬にワープ。
麗しのサブリナ ― 2025-08-12
コーヒーをめぐる冒険(Oh Boy) ― 2025-08-11

★コーヒーをめぐる冒険(Oh Boy)
原題:Oh Boy
監督:ヤン・オーレ・ゲルスター
キャスト:トム・シリング、マルク・ホーゼマン、他
2012/ドイツ
若者の一日。
朝のコーヒーを飲めなかったということから始まり、
ほんとについてないことの連続。
お気の毒ですが、
テンポよく、
軽快に続きます。
これはモノクロ映画です。
ベルリンの街が白黒で美しく描かれています。
実は、その映像が観たかったんです。
モノクロなんですが、もの凄く色彩を感じさせる映像でした。
島はぼくらと ― 2025-08-09

本を読んだ。
★島はぼくらと
著者:辻村 深月
出版社: 講談社
辻村さんの書き下ろし小説。
彼女、直木賞作家、
ライトな感覚でいまや人気女性作家の一人になった。
母と祖母の女三代で暮らす、伸びやかな少女、朱里。
美人で気が強く、どこか醒めた網元の一人娘、衣花。
父のロハスに巻き込まれ、東京から連れてこられた源樹。
熱心な演劇部員なのに、思うように練習に出られない新。
(登場人物4人の紹介文はAmazonより)
4人の物語のようで、実は島に住む様々な人たちが登場する。
高校生青春物とは早計には言い切れない、辻村さんの想いが綴られているのだ。
島の子ども達は、中学までは地元の学校で過ごすが、高校はフェリーで本土の高校へ通う。
多くの子ども達は、島で育ちながらも、いずれは進学就職で島を離れる。
親はそのことを解りながら、《いずれは島を離れる子ども》を覚悟しながら子育てをする。
《故郷を巣立つ》ことの想い、
《故郷に留まる》ことの想い。
島の共同体社会の現実と未来を重ねながら、いろんな人の想いがいっぱい詰まった作品。
ちょっとうまくでき過ぎの物語ではあるが、
読書途中、そして読後に爽快感が残り心地よかった。
ひょっとしたら、
《これはとてもいい作品なのではないか》
シャレード ― 2025-08-09
シネマです。
劇場で何度も観ています。
DVDでも何度も。
今回はプライムビデオです。
★シャレード
Charade
監督:スタンリー・ドーネン
音楽:ヘンリー・マンシーニ
出演者:ケーリー・グラント、オードリー・ヘプバーン、他
1963/アメリカ
50年以上も前の映画ですが、
面白さは変わらない。
人気作品ですので、いまでも時々劇場上映があります。
その度に劇場へ。
オトナのオードリー・ヘプバーンは、
とても可愛い。
潤んだ眼差しには癒されます。
ヘンリー・マンシーニの音楽も心地よい。
記憶にのこるメロディ。
セーヌ河の夜の遊覧船、
ノートルダム寺院、
メトロの追跡劇、
劇場でのサスペンス
50年前のクラシックカー
などなど
映画の作りは何処かヒッチコック風です。
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